宗教法人アカウンタント通信No.178〇神道への改宗〇神道への改宗 先日、中部地方在住のある方とお話をする機会がありました。その方は地元の寺の世話人さんをしておられ、 本堂の改築に関して建設委員としてそのプロジェクトに大きく関わっておられたそうです。 本堂の改築は完成し、落慶法要を待つばかりとなっておられますが、その方がおっしゃっていたのは、改築に伴う寄付の関係で、 寺側と一部の檀信徒さんの間に齟齬が生じ、お檀家さんを抜ける方が10件程度おられたということです。 衝撃的だったのはその方たちが「神道に改宗した」とおっしゃっていたことです。 曰く、「お身内が亡くなった後の諸々の供養について神道のほうが20万円から30万円ほど安く上がるから」だと。 もちろんその金額だけが改宗の決め手となったわけではないでしょうが、一般の方から「宗派替え」でなく「他宗教への改宗」ということばが出てきたことに、 その理由とあいまってショックを受けました。 昔から「神仏に手を合わせる」という言葉がある通り、神様と仏様は日本人の心の中で一体化して礼拝の対象となってきました。 ただそこには仏(ほとけ)と神(かみ)という歴然とした信仰対象の差異がありました。大雑把に言うなら、 仏教はご自身の修行を見守る存在として仏様がいらっしゃる。そして神道は民の願いを受け入れるために神様が存在する、 そのような立ち位置の明確な違いがあったのではないかと思います。 この双方は安易に乗り換えるようなものではないと筆者は思っていたのですが、改宗と言う言葉で表現される「乗り換え」が存在していることは衝撃でした。 もちろん本堂の改築をめぐっての寄付のご依頼の仕方や金額に関して寺院側の配慮が欠けていたという面はあったのかもしれませんが、 それでも個人的には仏教は何物にも変えがたい人生の指針を与えてくれる存在と思っておりました。 ただ、諸物価高騰、あらゆるライフイベントにかかわるコストの見直しの流れの中で、他の宗教に移られる。 そしてことによっては、今後このような動きが加速していくことも考えられないわけではない。 多くの方が様々な生きづらさを抱えておられる世の中で、寺が、そして僧侶や寺が、ご葬儀やご法事の際の単なる舞台装置や登場人物にとどまらず、 一般の方の心の支えとなっていくためにどうしたらいいのか、今一度考え直さなくてはいけない。そんな時期に来ているのではないかと考えました。(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)
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