宗教法人アカウンタント通信No.176


〇戦後80年


〇戦後80年

今年は、第二次世界大戦が終結して80年の節目の年です。

2020年8月の本メールマガジンでも申し上げたのですが、太平洋戦争においては 仏教の各宗派がこぞって政府の方針を賛美し、金属製の梵鐘を供出したり、その土地で武勲のあった軍人の顕彰碑を建てたり、 檀徒から寄付をとりまとめて国に寄付したり、従軍僧として出征軍人に戦争の意義を説いたり、などの行為を行いました。

浄土真宗本願寺派の当時の門主は、こんな言葉を残しています。

「凡そ皇国に生を受けしもの、誰か天恩に浴せざらん。恩を知り徳に報ゆるは仏祖の垂訓にして、またこれ祖先の遺風なり。 各々その業務を恪守し、奉公の誠を尽さば、やがて忠君の本義に相契ふべし。 殊に国家の事変に際し、進んで身命を鋒鏑におとし、一死君国に殉ぜんは誠に義勇の極みと謂つべし」

他宗派もほぼ同様で、トップ自ら末寺に訓示を行うなど、政府に協力していました。

そういった「負の歴史」を受け、今回、全日本仏教会では、理事長名で以下の談話を発表しています。

 戦争において犠牲となられた世界の方々に対し、心より弔意を表するとともに、 戦争を経験し苦しい思いをしている方や、今もなお苦しめられている方々のご心痛のほど、お察し申しあげます。
 かつて日本も、戦争を推し進めていった事がありました。日本国民はこの国家方針に従い、 いのちの尊厳を提唱すべき私たち仏教徒の中には非戦を貫いた者もおりましたが、戦争に加担・協力した事実がありました。 仏教徒である私たちは、戦争という過ちを再び繰り返されることがないよう、これからも世界平和であり続けることを願い、 先達への感謝を忘れずに、仏陀の和の精神を基調とし、世界平和の進展に寄与してまいります。

また曹洞宗は、以下の宗務総長談話を発表しました。

宗門は当時、国家政策や世論の流れに無批判に迎合し、積極的に戦争に加担してしまいました。この事実を深く反省し、 戦争のない世界の構築と平和のために果たすべき仏教者の責務を見据え、二度と同じ過ちを繰り返すことがないよう、 重ねて決意を新たにし、行動してまいります。 (いずれも抜粋)

往時のスタンスに対する検証やさらなる反省の言葉が、8月15日の終戦の日に向け、各宗派から出てくることを願います。

世相は混迷の度を深め、理論や道理でなく感情によって物事が話し合われ、決められ、実行されるような、 不穏な状況になってきたように思います。 人々が、「何が正しいのか」を考え、「どうするべきなのか」を意思決定する際に、その指針を示す義務が、 宗教にはあると思います。

権力からは一定の距離を置き、慈悲・利他の精神を常に持ち、必要に応じて積極的に提言を行っていく。 そのために、我々宗教者一人ひとりが、日々思いを巡らせ、できることから行動に移していきたいと考えます。


(宗教法人アカウンタント養成講座 講師 高橋 泰源)